昨年は当院の患者さん１６０名のうち、不幸にしてお亡くなりになった患者さんが二人おられました。
もちろん一人もお亡くなりになることなく、元気に過ごしていただくのが一番ですし我々の願いなのですが、全国では平均して年間およそ９％の透析患者さんがお亡くなりになる中、元気で新年を迎えることができた方が大勢おられて嬉しく思います。

亡くなられた方のお一人は昨年コラムにも書きましたが、お孫さんが生まれた直後にお亡くなりになられました。
もうお一方はお孫さんが私の四番目の子供と同級生で、宮参りや七五三や運動会と行事毎にお互い楽しみですねとお話していた患者さんでした。毎週のようにお孫さんが遊びに来られていて、まさにお孫さんが生きがいとなっておられました。

お孫さんとの楽しい生活を満喫しようとするお二人の命を奪ってしまったのは脳出血でした。

そして今年早々に、大田のクリニックの患者さんもお一人脳出血でお亡くなりになられ残念でなりません。
この方は腰痛で入院されて一ヶ月以上も経過しており、やっと歩行訓練が始まって退院に向けての準備をしていると聞いて喜んでいた矢先でしたので、本当に驚きました。御家族も含めて誰もが、まさか腰痛で入院して帰らぬ人となるとは想像もしていませんでした。脳幹出血といって生命維持にとって重要な部位の出血であったため救命できなかったとのことでした。

また出雲のクリニックの患者さんで、ご高齢ですが自己管理のしっかりされた方で、御家族も熱心に面倒を見ておられた方がやはり脳幹出血で入院され、この方は幸い軽い出血であったため命を取り留めて現在リハビリに励んでおられます。
朝、寒いトイレで倒れられたそうです。

自己管理をしっかりしていても、無茶苦茶な管理の方でも、自宅や病院で穏やかな生活をしていてもある日突然脳出血はやってきます。

透析をしていない方でも日頃の血管のお手入れ、すなわち血圧管理、禁煙、血糖管理、脂質異常の治療などがうまくできていないと様々な因子が血管を痛めつけて脳卒中になる危険が高まります。
透析患者さんはこれに加えて体重増加で血管を風船のように膨らませるわけですから、ゴムが弱っているところがあればいつ破裂してもおかしくないのです。

年末にはお年寄りの患者さんに毎年、いい正月を迎えて冬を越しましょうね、と声をかけるのですが、まさに冬を乗り切ることが大切です。
増加の無茶苦茶な人や血圧の薬を飲み忘れたりする患者さん、煙草をやめられない患者さんが一部におられますから本当に心配です。こんな人達は冬眠でもすれば無事に春を迎えられるでしょうにねえ・・・・。
冬眠する野生動物は自然の摂理に従い、物事をよく知っていて偉いですね。

脳出血にご用心ですよ！